デービッド ミルスタイン
マネージングパートナー、日本代表
1995年よりM&Aコンサルティング会社を起業し、テクノロジー、金融系企業の買収のアドバイザリを行う。2000年、フィデリティ・ベンチャーズ日本オフィス代表として主に国内IT企業のベンチャーキャピタル投資と 海外投資先企業の日本市場へのエントリ支援を行う。2003年より、ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社の日本・アジアパシフィックにおける事業開発のコンサルティングに従事。2005年ウォルト・ディズニー・ジャパン入社。ディズニー・モバイルの携帯電話サービスを開始の責任者として事業計画からオペレーションを統括。2010年、ディズニー・インタラクティブ・メディア・グループ ゼネラルマネージャーに就任。2012年4月よりフィデリティ・キャピタル・マネジメント日本支店 (現:Eight Roads Ventures Japan) の代表を務める。

若い頃に抱いていた夢は?

MBAを取得後、日本でサンドイッチとベーグルの店をチェーン展開しようと考えていました。ビジネススクール2年目の年に、その業界の事を学ぶため、ボストン中のベーグル店でアルバイトをしました。友人と二人で、いかにすればビジネスとして成立するか一年かけ散々考えた結果、成功の見込みがないことに気づきました。

これまでのキャリアの中で、最も短期集中で学んだことは?

文化的な違いこそあれ、世界のどこに住んでいようとも、人々は、結局似たような願望や欲求、期待を抱き、それにより動機づけられる、ただその表現方法が異なるだけだと実感したことです。また、我々は皆真っすぐな道を歩む必要はなく、同じ終着点への行き方にも複数の経路があるということです。私にとっては、それを理解したことが飛躍的進歩の瞬間でした。

今、最も注目しているテクノロジー・トレンドは?その理由は?

資金が無くても、ビジネスを構築できるという事です。

今までは、例えばソフトウェア企業を立ち上げたいと考えたら、最低5000万ドルは必要だったでしょう。現在では、その何分の一で創業できてしまいます。かつて固定費だったものが、今日では、変動費です。素晴らしいアイデアがあれば、それを後押しする技術的インフラが整備されています。自ら所有していない資産を活用でき、また、そのような資産を所有する必要がそもそもありません。これは、凄いことです。Airbnb社やUber社の例をみても、これらの企業は何も所有していません;今の世の中では、素晴らしいアイデアとそれを実行する能力さえあれば、事業が成立するのです。

来日したころから、今日に至るまで、日本のベンチャー市場環境は、どのように変遷してきましたか?

もはや、皆さんの父親が働いていた時代の日本ではありません。社会には保守的な部分が今もなお残っているかもしれませんが、多くの若者たちにとって終身雇用が重要だった時代は終わりました。エリート大学の学生でさえ、もはや大企業の終身雇用制度に頼るのではなく、起業への関心が大変高くなっています。失敗は、将来を破滅させるものではなく、経験豊富な起業家としての財産になるので、新たなことに挑戦することは価値ある事との考えが広がりつつあります。

20歳の頃の自分にアドバイスできるとしたら?

自分に正直に、今を生きることを恐れないこと。喜びや満足を先延ばしにすることは、過大評価されている。

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